はい、イセ工業株式会社では、ステンレスパイプの加工において、特性の異なる様々な材質に対応しております。
特に弊社の得意分野である排気管(マフラー)部品では、使用される部位(エンジン直後の高温部、車体後方の低温部、外観部品など)によって、求められる「耐熱性」「耐食性(錆びにくさ)」「加工のしやすさ」「コスト」がすべて異なります。
そのため、弊社では材質ごとの特性を熟知した上で、主に以下のステンレス鋼種(こうしゅ)の加工実績を豊富に有しています。
1. オーステナイト系ステンレス鋼 (例: SUS304, CRE321)
「オーステナイト系」は、ステンレス鋼の主成分である鉄(Fe)にクロム(Cr)と、高価なニッケル(Ni)を添加した合金です。
- 専門用語解説(オーステナイト系):
- 長所: 非常に「靭性(じんせい)=粘り強さ」があり、耐食性(錆びにくさ)、耐熱性に優れています。溶接性も良好で、美しい溶接ビードが出しやすいのが特徴です。
- 短所: 以前のFAQ(「ステンレスのパイプ加工は可能でしょうか?」)でも触れた通り、「加工硬化(かこうこうか)」(加工すると急激に硬くなる)という特性が非常に強く、曲げ加工やプレス加工には高い技術とノウハウが必要です。また、ニッケルを含むためフェライト系より高価です。
- 弊社の対応材質:
- SUS304: 最も代表的なオーステナイト系ステンレスで、「18-8ステンレス」とも呼ばれます。汎用性が高く、弊社の取り扱い実績も圧倒的に多い材質です。
- CRE321 (SUS321相当): SUS304にチタン(Ti)を添加し、耐粒界腐食性(たいりゅうかいふしょくせい)を高めた材料です。これは、溶接によって発生する「錆びやすさ」を抑える効果があり、排気管のように溶接後に高温にさらされる過酷な部品に最適です。
2. フェライト系ステンレス鋼 (例: SUS436, SUS425)
「フェライト系」は、主成分は鉄(Fe)とクロム(Cr)で、オーステナイト系に含まれる高価なニッケル(Ni)を含まない(またはごく微量)のが大きな特徴です。
- 専門用語解説(フェライト系):
- 長所: ニッケルを含まないため、オーステナイト系に比べてコストが安価です。それでいて、耐食性(特に融雪剤などに含まれる塩化物に対する耐性)や耐熱性に優れています。また、熱膨張率が低いため、溶接時の「熱歪み」がオーステナイト系より少ないという大きなメリットもあります。
- 短所: オーステナイト系ほどの靭性(粘り強さ)はなく、硬い材質であるため、曲げ加工時に「割れ」が発生しやすいなど、オーステナイト系とは異なる加工ノウハウが必要です。
- 弊社の対応材質:
- SUS436 / SUS425: これらは、まさに自動車の排気管(マフラー)向けに開発された、フェライト系の代表的な鋼種です。コストと、排気系に求められる耐熱・耐食性(特に融雪剤による錆)のバランスが非常に良いため、近年の排気システムで最も多く使用されています。
材質選定からご相談ください
このように、イセ工業株式会社では、オーステナイト系・フェライト系それぞれの「クセ」を熟知しております。
- オーステナイト系の「加工硬化」や「スプリングバック(曲げた後の戻り)」を精密に制御するNCパイプベンダーの曲げ技術
- フェライト系の「割れ」を防ぎ、適切に溶け込ませるTIG溶接の技術
お客様が製作したい製品の「使用環境(温度、塩害など)」「求められる寿命」「コストターゲット」をお聞かせいただければ、材質の選定からご相談を承ります。
図面をお送りいただければ、最適な材質と加工方法をあわせてお見積もりいたします。まずはお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話にてご相談ください。
※フェライト系のパイプは入手不可の為、支給が前提となります。
ステンレス・アルミパイプ受託加工センターでは、創業以来積み重ねてきたノウハウと、
社内一貫製作により多種多様なパイプ部品の製造を試作開発から量産までトータルサポートいたします
社内一貫製作により多種多様なパイプ部品の製造を試作開発から量産までトータルサポートいたします
積極的なVA/VEによる技術提案によりお客様のニーズにお応えいたします