パイプや丸棒を極端に小さい半径で曲げる「小R曲げ」は、加工難度が高い一方で、設計の自由度を格段に高めてくれるメリットがあります。自動車や産業機器など、限られたスペースを活用しながら配管を通したい場合には、まさにこの小R曲げの技術が欠かせません。ここでは、小R曲げがなぜ難しいのか、その一方でどのような利点があるのかをわかりやすくお伝えします。
小R曲げが難しい理由
- 板厚が薄いパイプほど破れやすい
曲げ加工を行うとき、パイプの外側は大きく伸びると同時に「板引け」が起こります。板厚が薄いほどこの変形に耐えられず、亀裂や破れが生じやすくなります。 - 曲げ半径が小さいほど変形が大きい
曲げ半径が小さくなるほど、パイプ外側の伸びや板引けが大きくなり、破損リスクが高まります。 - 口径が大きいほど負荷が増す
大口径のパイプほど曲げ外側で起こる変形量が増え、板引けも大きくなります。曲げ内側も、外側との差が大きくなる為、負荷が大きくなります。必要な力や設備への負担が高まるため、より高度な技術が必要です。 - 設備への負担が大きい
小R曲げでは狭い範囲で芯金(しんがね)を大きく動かす必要があり、芯金の破損率が上昇するなど、設備にも相応の負荷がかかります。こうした点を考慮に入れつつ、安定した加工品質を保つにはノウハウが欠かせません。

小R曲げのメリット
- 設計の自由度を高める
小さい半径で曲げられるおかげで、複雑なレイアウトにも対応しやすくなります。限られたスペースしかない場面でも、配管を思い通りに通せるため、これまで実現しにくかった設計を可能にする場合があります。 - 工数削減と安定した流体特性
分割式の配管と比べて溶接回数や漏れ検査の工程を減らせるため、製造工数を大幅に削減できます。さらに、一体成型されたパイプは内部に段差が少ないため、流体の流れが乱れにくく、性能面でも優位性が生まれます。

小R曲げは高度な技術で現場課題を解決
小R曲げは非常に高度な技術を必要としますが、設計自由度の大幅アップやスペースの有効活用、さらには工数の削減など、多くの利点をもたらします。イセ工業では長年にわたり自動車配管の加工に携わり、小R曲げを含む多彩なパイプ加工で数多くの実績を積み重ねてきました。高難度な加工に対応できる技術を備えておりますので、「この形状で曲げたい」「スペースをもっと有効に使いたい」などのお悩みがございましたら、ぜひイセ工業へご相談ください。お客様のニーズに合わせた最適なご提案を通じて、お役に立てるよう全力でサポートいたします。
パイプ曲げ加工、試作開発のスピードアップ、コスト削減など、ぜひご相談ください。